【武蔵新城】セシーズイシイ7 Part2

【川崎:JR南武線沿線】

 

ストーリー

「いらっしゃいませー!あ、大輝くん。こっちの席空いているからどうぞー。」

「ありがとうー。おばちゃん、いつものもらえますか?」

「ハイボールとレバニラ定食ね?」

「そうそう!さすが分かっているねー。」

「あんた、週何回うちに来ているのよ。さすがに記憶力悪いわたしでも覚えるわ。」

「だって、おじちゃんのレバニラ最高なんだもん。」

「ハイボールは濃い目ね!」

「ありがとうー。」

佐々木大輝。25歳。大阪府堺市出身。

就職を期に関東に引っ越しをし、現在は川崎駅近隣にある介護施設で働く介護福祉士だ。

大輝が住む場所は、川崎駅から南武線で約20分のところにある武蔵新城。

大阪生まれ大阪育ち、両親も生粋の関西人の大輝にとって、関東エリアは全く土地勘がない場所。不動産会社の営業マンに最初、武蔵新城の物件を紹介された時も、全く乗り気ではなく、ただなんとなく言われるがままに物件を見に行ったのが、大輝と武蔵新城というエリアを繋ぐきっかけだった。

「佐々木さん、どのような条件で部屋を探していらっしゃいますか?」

「職場が川崎駅の辺りなので、出来るだけ職場に近い場所で、出来れば家賃6万円くらいのところがいいんですが・・・」

「川崎エリアで家賃6万円・・・。今、川崎の辺りは新築のマンションがどんどん建っていて、人口が増えているので、結構家賃相場も上がってきているんですよね。南武線の各駅停車の駅であれば、ご希望に合う物件があるかもしれませんね。」

「あ、あと、もう一つ・・・」

「何でしょうか?」

「いえ、あ、大丈夫です・・・。駅から近いと更に嬉しいです。」

「うーん、家賃6万円、駅近の物件・・・。いくつか内見に行きましょうか。」

「はい、よろしくお願いします。」

こんな感じで、所謂よくある不動産会社の営業マンとのやりとりを通じて、大輝は今の住まいを手にいれた。

大輝が今住んでいる武蔵新城というエリアは、川崎駅から南武線で約20分。正直、最初に案内をされた時は「遠い」という印象だったが、街に着いた瞬間、その印象は一瞬のうちにかき消された。何故なら、大輝が生まれ育った街の雰囲気にすごく似ていたからだ。

駅を降りると目の前にスーパーがあり、そこに出入りする地元の人たち。少し道を歩くと、古くからあるお店と新しく出来たお店が交互に入り組んだような街の作り。一度お店の中に入ると、店員さんと常連さんが会話を交わしながらコミュニケーションを取っている様子もなんだか懐かしい。

関西から就職で初めて関東に引っ越してくる大輝は、新しい生活に馴染めるか、心の中でとても不安を抱えていた。

それが、この武蔵新城の街と自分の生まれ育った街を重ね合わせた時に「ここなら新しい生活を楽しめるかもしれない」と思うことが出来たのだ。

人の感情とは、とっても曖昧なもので、ついさっきまでは、電車20分なんて遠い!と思っていたのに、街の雰囲気を肌で感じた瞬間に、「この街なら20分かけてでも職場に通う価値がある」と意識が変わったりする。

大輝はそんな自分の変化を客観的に「都合の良い奴だ」と思いながらも、居心地の良い街を見つけることが出来た自分の幸運に感謝した。

「佐々木さん、ご紹介する物件、こちらです。」

そう促されて、大輝は内見先の物件に入った。

「家賃は6万2000円でご希望の金額より2千円高くなってしまうんですが、駅から徒歩2分で近いですし、目の前に西友もありますし、飲食店も近隣にたくさんあるので、男性の一人暮らしにはかなりオススメのお部屋です。あと、このお部屋、男性向けの内装が施されていて、とにかくおしゃれなんですよ!!」

「あ、あの、ここにします。凄いですね!こんなおしゃれな内装にしてくれる大家さんっているんですか!?」

「ここの大家さんは、武蔵新城でもたくさんの物件をお持ちで、この部屋のように内装にこだわった部屋も複数作っているんです。なかなかないですよ、こんな内装の物件。即決される気持ち、僕もよくわかります(笑)ご近所でカフェの運営もされていらっしゃるので、引っ越してきたら行ってみられたら良いと思いますよ。」

「そうなんですか!本当にいいですね、この部屋。」

「では、この物件で審査を進めるようにしますね。無事、決まるといいですね。」

こうやって、大輝の初めての一人暮らしの部屋が決まった。

武蔵新城駅徒歩2分、19平米。

決して広い部屋ではない。

でも、街の雰囲気と合わせて、自分のお給料で十分まかなえる家賃であること、そして何より、小洒落た内装にやられた。

実は、大輝は不動産会社の人には言いそびれたのだが、心の中でこだわっていた物件探しの条件がもう一つだけあった。

それは「彼女が呼べるような部屋であること」。

就職して初めての一人暮らし。男なら誰しも憧れるシュチュエーションだろう。

「あ、このオシャレな内装。いつでも彼女を呼べる!!」

物件を見たとき、大輝は心の中で思わず叫んだ。まだ彼女はいないけど、部屋が整ったなら、自信を持って女の子と出会っていける!そう思った。

一人暮らしをはじめて1年。

もうすぐ桜が咲くであろう春の季節。大輝は行きつけの中華料理屋に今日も向かっていた。

一つだけいつもと違うことは、今日は一人ではなく隣に女性が一緒ということ。そう、職場で出会って最近付き合い始めた彼女だ。

「いらっしゃいませー!あら?大輝くん。今日は一人じゃないの!?」

「そうなんです、今日は二人で来ました!」

「可愛い子を連れてきたわねー。彼女?」

「あ、はい、遂に出来ました!」

「そうー、初めまして。いつになったら彼女を連れてくるのかと心配していたのよ、おばちゃんは。こんな可愛い彼女が出来たのなら安心ね。どうぞよろしくお願いします。大輝くん、今日は何にするの?」

「いつもの、ハイボールとレバニラ定食で。」

「はい、ハイボール濃い目ね!」

「彼女さんもメニュー決まったら呼んでくださいね。あんたー、やっと大輝くんが彼女連れてきたわよー、めでたいわね、今日は!」

武蔵新城に住んで1年。

たった1年だけど、大輝にはすでに家族のような居場所が出来た。中華料理屋のおじちゃんとおばちゃんは、大輝が体調不良の時も心配をしてくれたし、彼女を連れてきた今日も、我が子が彼女を連れてきたかのように喜んでくれた。

そして今日は初めて彼女を一人暮らしの家に招待をする日。

あのオシャレな内装の部屋を見て、彼女は喜んでくれるだろうか。

「じゃあ、そろそろ行こっか。」

実は男性は女性以上に繊細な生き物。

新しい土地で新しい環境に馴染み、彼女を作るというのも、実は勇気がいることだ。だって、フラれたら凹むから・・・。

そんな中、オシャレな内装の部屋に住んでいるという事実が大輝の繊細な性格を後押ししてくれた。

だって、彼女をこの部屋に呼びたかったから。この街を案内したかったから。

これから彼女ともっと一緒に、この街で、そしてこの部屋で過ごせる時間が多くなりますように。

そう願いながら大輝は彼女と一緒に一人暮らしの部屋に向かった。

Fin

写真はこちらから

 

 

物件概要

間取
1K
広さ
19m2
アクセス
神奈川県川崎市中原区上新城2-7-1
  • JR南武線「武蔵新城」駅徒歩2分

間取

 

 

マップ

神奈川県川崎市中原区上新城2-7-1

オーナー

石井秀和

石井秀和

現在は武蔵新城を中心に展開するセシーズイシイマンションシリーズを管理しています。
武蔵新城駅を中心としたエリアに「この街に住みたい」というひとを増やす為の仕組み作り、情報発信やイベント企画など様々な活動を行っております。
http://seses-ishii.jp/

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