(3ヶ月後)
大塚涼介・真衣・陸の3人は、丹沢のキャンプ場にいた。
初めてのキャンプ場に陸はキラキラと目を輝かせている。
「真衣ー!陸と川遊びしてくるー!」
そう言って、涼介は陸と連れて川へ向かっていった。
今回はコテージを借りたので、男二人が出かけている間は真衣にとって、一人時間を楽しめる時。
ずっとゆっくり読みたいと思っていた本を読みながら、出かけていく二人の後ろ姿を見送った。
「あの時、勇気を出して涼介に話して良かった」
と、真衣は心から思っていた。
家を出る覚悟もしていた真衣。
その差し迫った様子に涼介もすぐに気づいたようで、二人で、これから先、どんな時間を過ごしたいのか?をもう一度話した。
~引っ越し前に思い描いたような家族の時間を作ろう~
これが、二人の総意だった。
仕事三昧になっていた涼介は、接待をできるだけ減らし、会社へも残業抑制を働きかけるようになった。
それでもどうしても終わらない仕事は、集中できる朝にやろう!ということで、今までよりも早く会社に出勤するように。
人が少ない朝の社内は仕事がはかどるし、通勤電車も空いているようで、涼介も朝活のような仕事スタイルを気に入っているようだ。
涼介が早く会社に出勤するようになったため、陸の送り迎えは朝・晩ともに真衣の担当。
しかし、真衣はそのことが全く不満ではなかった。
何故なら、涼介が早く帰ってくるようになったことで、陸はよく笑い、家族がまた一つになっていくことを感じたから。
しかし、男性とは「これ!」と決めると、とことんハマる生き物なのだろうか。
あんなに仕事にハマっていた涼介は、もちろん今も仕事も一生懸命しているけれど、それ以上にハマりはじめたのが「キャンプ」だ。
月1回、家族3人でどこかのキャンプ場に出かける。
週末、天気が良ければバルコニーに出てご飯を食べるというのが、冬の期間を除いて継続しそうな勢いだ。
部屋は私たちの人生を彩ってくれる。
どこに住み、どんな生活をするのか?その中心になるのが「住まい」なのだと思う。
でも、その人生を彩るために欠かせないのは、「どんな生活をしたいのか?」という入居者・家族の想いだ。
想いが核となり、想いを叶える手段として「住まい」がある。
あなたは、どんな想いを持って、今の場所に住んでいますか?
Fin