「いらっしゃいませー!あ、大輝くん。こっちの席空いているからどうぞー。」
「ありがとうー。おばちゃん、いつものもらえますか?」
「ハイボールとレバニラ定食ね?」
「そうそう!さすが分かっているねー。」
「あんた、週何回うちに来ているのよ。さすがに記憶力悪いわたしでも覚えるわ。」
「だって、おじちゃんのレバニラ最高なんだもん。」
「ハイボールは濃い目ね!」
「ありがとうー。」
佐々木大輝。25歳。大阪府堺市出身。
就職を期に関東に引っ越しをし、現在は川崎駅近隣にある介護施設で働く介護福祉士だ。
大輝が住む場所は、川崎駅から南武線で約20分のところにある武蔵新城。
大阪生まれ大阪育ち、両親も生粋の関西人の大輝にとって、関東エリアは全く土地勘がない場所。不動産会社の営業マンに最初、武蔵新城の物件を紹介された時も、全く乗り気ではなく、ただなんとなく言われるがままに物件を見に行ったのが、大輝と武蔵新城というエリアを繋ぐきっかけだった。